漢方薬がすぐわかる、すぐ使えるー不眠症
今回は、新見先生の漢方JPにから、不眠解消の漢方薬を紹介します。
処方薬での睡眠薬(民薬、睡眠導入剤)は、ベンゾジアゾピン系のものが多用されています。
ぼくの場合、30代のころからすぐ寝れなかったり、夜中に目が覚めたりしするので、レンドルミンを時々服用しています。
不安症とも30代からのお付き合いで、ベンゾジアゼピン系のメイラックスが長年の友となっています。
しかし、ベンゾジアゼピン系は、非常によく効くのですが、依存性があることや飲みすぎにより効果が弱くなったり、服用中止時に離脱症状がおこる可能性があることから、厚労省から注意喚起のガイダンスが出ているようす。
最近、掛かりつけのクリニックの先生に、ベンゾジアゼピン系からSNRIやSSRIなどの抗うつ剤に変えることを勧められていますが、なかなか切り替える勇気が出てきません。
そこで、私は漢方薬との併用によって、ベンゾジアゼピン系睡眠薬や安定剤を少しづつ減らすことに挑戦しています。
目次
不眠を解消する漢方薬
加味帰脾湯、帰脾湯
加味帰脾湯には、疲労感を感じている人に効果がある人参と黄耆という参耆剤という生薬と気持ちが落ち着いて楽になる酸棗仁、柴胡、山梔子という生薬が入っています
帰脾湯は、加味帰脾湯から酸棗仁と柴胡を除いたものですが、加味帰脾湯が飲めない、より虚証な人に向きます。
抑肝散、抑肝散加陳皮半夏、抑肝散加芍薬黄連
気持ちが高ぶって眠れないときに使用します。
抑肝散は、柴胡と釣藤鈎という生薬が入っているので、気持ちがおさまります。
抑肝散加陳皮半夏には、陳皮と半夏が入っていますが、より虚証(高齢者や体力のない人)の使用されます。
抑肝散加芍薬黄連は、黄連がカーとした気持ち(気逆)を治めます。
黄連解毒湯
カッカしてるのを冷やすイメージの漢方薬です。
加味逍遙散
加味逍遙散にも柴胡が入っており、不眠によい漢方薬です。
柴胡加竜骨牡蛎湯
柴胡だけではなく竜骨と牡蛎(安神)が気持ちを抑えます。
柴胡桂枝乾姜湯
温める生薬の乾姜と安神効果のある牡蛎を入っているので、眠りやすくなります。
酸棗仁湯
睡眠をたすけるだけでなく、寝すぎも抑えます。不眠症というより、睡眠調整の効果があります。
温胆湯
不眠症の効能書があります。
補中益気湯
柴胡剤、人耆剤で、不眠に使用されます。
新見先生は、慶応義塾大学の医学部を卒業後、英国オックスフォード大学医学部博士課程。ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞されています。
現在は、帝京大学医学部大学院 東洋医学講座 指導教授をされており、これまでの先生の漢方治療の経験をもとに、医療現場への漢方治療の導入を啓蒙をされています。
不眠を解消する生薬
不眠の効能表示のある漢方薬には、概ね下記の生薬が配合されています。
特に、柴胡は不眠によく効く生薬です。
柴胡
柴胡は解表薬で、体の内部に入った「熱」の邪気を追い出す作用があります。
五臓六腑:肝と三焦に作用します。
和解耐熱:往来寒熱を抑えます。
疎肝解鬱:流れの悪さからくるイライラや不安感を取り除きます。
昇挙陽気:気持ちをあげます。
酸棗仁
酸棗仁は安神薬で、気持ちを抑えます。
五臓六腑:肝、心に作用します。
養心安神:気持ちの高ぶりを抑えます。
斂汗:汗を止めます。
山梔子
山梔子は清熱薬で、体内に入った熱邪を追い出します。
五臓六腑:心、肺、胃、三焦に作用します。
瀉火除煩:火を追い出し、気持ちを鎮める
清熱利湿:熱を冷まし、湿を取り除く。
涼血解毒:血を冷まし、解毒します。
釣藤鈎
釣藤鈎は、平肝熄風薬で、肝風を鎮める作用を持ちます。風はめまいや痙攣の原因になりますので、風を落ち着かせることが心身安定をもたらします。
五臓六腑:肝に作用します。
息風止痙:内風を抑え、痙攣をとめます。
清熱平肝:熱をさまし、肝を安定させてます。
黄連
黄連は、清熱燥湿薬で、体内に入った熱邪と湿邪を追い出します。
五臓六腑:肝、心の作用します。心に働いて不眠を解消し、肝に働いて目の充血に用いられます。
清熱燥湿
瀉火解毒
人参
人参は、補益薬で、気、血、陽を補います。
五臓六腑:脾、肺
補脾益肺
大補元気
安神増智
生津止渇:津液を生み、渇きを止めます。
黄耆
黄耆は、補益薬で、気、血、陽を補います。
五臓六腑:脾、肺に作用します。
補気昇陽:気を補い、陽気を上昇します。
益衛固表:表面の衛り(守り)を固めます。
托毒生肌:肌を生みます。
利水退腫:水を排出して腫れを取ります。
日本中医薬研究会 中医学 生薬編より抜粋