漢方薬がすぐわかる、すぐ使えるー痛み編
最近、新見先生の漢方JPにはまっています。
新見先生は、慶応義塾大学の医学部を卒業後、英国オックスフォード大学医学部博士課程。ハーバード大学にてイグノーベル賞受賞されています。
現在は、帝京大学医学部大学院 東洋医学講座 指導教授をされており、これまでの先生の漢方治療の経験をもとに、医療現場への漢方治療の導入を啓蒙をされているようです。
新見先生は、もともと外科が専門であり、漢方医ではないとおっしゃていますが、和漢のみならず、中医学にも精通されており、西洋医学の治療現場に、多くの漢方薬を処方し、多くの患者を助けてこられたようです。
漢方JPは、わたしのような新米漢方薬剤師にも漢方治療、その存在意義、患者さんへの漢方治療の実践が理解できる非常にわかりやすいサイトとなっています。
是非これから何回か新見先生の漢方JPの講義をもとにして、わかりやすい漢方治療について紹介していきたいと思います。
目次
痛みを解消する漢方薬
芍薬甘草湯
一言に痛みといってもいろいろありますが、芍薬甘草湯は胃痙攣、足がつる、しゃっくり、ぎっくり腰などの筋肉のけいれんや引きつりによりおこる痛みによく効きます。
構成生薬が芍薬と甘草の2種類のみですので、即効性があります。ただし、長期に服用すると効き目が弱くなってきますので、頓服で服用するのがよいでしょう。
GF場で、キャディさんが、足がつった人用(こむら返り)に常備しているほどすぐに効果が現れるようです。
ロキソニンやアセトアミノフェンなどにアレルギーのある人が稀にいるようですが、このような人の代替鎮痛剤として、芍薬甘草湯が処方されています。
牛車腎気丸(八味地黄丸)
牛車腎気丸、八味地黄丸は、高齢者の腰下肢痛、しびれに効きます。
高齢者の頻尿、気力が無い、精力がない、目が見えない、耳が聞こえない等の症状の改善に使用される漢方薬ですが、高齢者によくある腰痛や関節痛、しびれに汎用されます。
特に、構成生薬の附子は、トリカブトの減毒処理をしたもので、これを増量すると、高齢者の痛みやしびれの改善効果が増強されます。
五苓散
五苓散は、痛みの中の頭痛に効果があります。頭痛も様々な理由で起こりますが、脳のむくみによって頭痛が発生している場合、五苓散がよく効きます。
二日酔いによく効くといわれますが、私も常習者です。飲む前と飲んだ後に、五苓散を服用すると、翌日の頭痛が相当軽減されています。あとは、痛みではないですが、二日酔いの吐気や嘔吐にもよく効きます。
加味逍遙散
自律神経失調症、更年期障害などの不定愁訴に含まれる痛みに、加味逍遙散がよく効きます。
即効性はないですが、じわりじわりと不定愁訴の症候が解消されます。
麻黄を含む漢方薬
麻黄は、風邪の初期(漢方は、太陽病と言われる時期です)ときに使われる麻黄湯、葛根湯や関節痛に使用される越婢加朮湯に入ってます。
麻黄の含まれる漢方薬は、頭痛、喉痛、関節痛、筋肉痛、肩こり、首筋の痛みに効く即効性の生薬ですので、痛みが辛いときに頓服的に服用すると良いでしょう。
新見 正則 帝京大学医学部大学院 東洋医学講座 指導教授
https://www.youtube.com/watch?v=kfPVnTsL6s0&t
痛みに効く生薬
生薬に関する説明を、中医学の資料から抜粋して、解説してみました。
白芍薬
芍薬は清熱薬で、体の内部に入った「熱」の邪気を追い出す作用があります。
芍薬には、白芍薬と赤芍薬があり、赤芍薬は清熱涼血 の活血薬で、白芍薬は、補血・緩急止痛の効果があり、芍薬甘草湯のように痛みを止める目的で芍薬を使う場合には白芍薬を用います。
五臓六腑:肝に作用します。
補血・緩急止痛:血を補い、ほぐして痛みを和らげます。
附子
附子は温裏薬で、体の奥の冷えを除く作用があります。
五臓六腑:心、脾、腎に作用します。
回陽救逆:陽気を回復します。
補火助陽:陽を助けて、火を補います。
散寒止痛:寒を除いて痛みを止めます。
麻黄
麻黄は、辛温解表薬で、血管拡張や発汗力が強く「表寒」に適応する生薬です。
五臓六腑:肺に作用します。
発汗解表:体を温めて発汗をさせ、風寒の邪を取り除きます。
利水消腫:水の偏在を解消し、浮腫みをとります。
平喘止咳 (へいぜんしがい):喘息や咳症状を和らげます。
日本中医薬研究会 暮らしに生かす中医学 生薬編より抜粋