高齢者の痛み、関節痛、腰痛、神経痛、しびれに7種の漢方薬
高齢者の腰下肢痛に対する漢方治療
高齢者の腰下肢痛の第一選択薬は、附子剤
高齢者の場合(私のような56才も含まれるのか?笑)の痛みには、附子剤が第一選択薬であり、お腹の調子が良い人は、八味地黄丸や牛車腎気丸のように地黄を含むものを、胃の弱い人は、芍薬を含むものがよく効きます。
このブログではまだ詳しく説明していないのですが、漢方には五臓六腑という考え方があって、それらの内臓機能の状態によっても漢方薬を使い分けていく方法もあります。
高齢者のほとんどの場合が、腎虚(腎:現代医学の腎臓、膀胱、生殖器を含むものが腎と考えられており、それらの臓器の機能が低下)の状態となっています。これらの高齢者には附子が有効です。
胃腸の調子が良くない人は、脾虚(脾:現在医学で言う脾臓ではなく、膵臓までを含むものではないかと言われている、脾虚:消化器系の機能が低下している)には、地黄が使えないので、芍薬を代用で使用されることになります。
- 八味地黄丸、牛車腎気丸
- 桂枝加苓朮附湯、桂枝加芍薬地母湯 胃腸が弱い人には、地黄含有しない附子剤
高齢者の腰下肢痛の第二選択薬、附子剤無効時には当帰剤
第一選択薬の附子剤の効果がない場合は、当帰剤を適用します。特に、上熱下寒の場合は、全体を温める附子剤ではのぼせが出る可能性があるので、下半身だけを温めることのできる当帰剤を使用します。
下記の漢方薬には、当帰、芍薬が含まれていて、冷えを伴う筋肉の緊張と血流の低下を改善します。
- 当帰四逆加呉茱萸湯⇒高齢者で冷えが強い(寒証)
- 疎経活血湯⇒高齢者で冷えは弱いが、血虚、瘀血の症候がある場合に選択します。
高齢者の腰下肢痛の第三選択薬、当帰と附子で対応
当帰剤も附子剤も効果がない場合は、附子と当帰の両方が使用されている方剤を使用
- 大防風湯⇒高齢者で寒がり(寒証)の痛みに附子と当帰で対応する
今回紹介した漢方薬と生薬
八味地黄丸
含まれている生薬は名前の通り、8種類で地黄、 山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂皮、附子末です。今回この8種類の生薬を覚えましょう!!花も一緒に勉強しなおしです。
これらの生薬は、腎虚(加齢による腎臓機能の低下)に対抗する生薬たちです。
- 性欲低下、不妊
- 骨、歯牙の形成低下
- むくみ(浮腫)、夜間尿、目や皮膚の乾燥
- 息切れ
- 健忘、根気が無い、恐れ、驚き
- 白内障、耳鳴り
地黄:増血、解熱、強壮などの作用があります。貧血や虚弱体質を改善する目的で、高齢者や婦人病に用いる漢方薬に配合されます。糖尿病や前立腺肥大、白内障にも幅広く使われます。
山茱萸:腎の不調を改善することによって、頻尿や尿もれなどを治します。このほか、耳鳴りやめまい、ED(インポテンツ)などにも効果的です。
山薬:消化を助け、便通を正常にします。さらに、夜尿症、頻尿などの泌尿器系の疾患にも効果的です。