シミ・肝斑・目の下のくまの改善に、二大駆瘀血剤(桂枝茯苓丸と桃核承気湯)
シミ・肝斑・目の下のくまには、桂枝茯苓丸、桃核承気湯
今回は、シミ、目の下のくま、肝斑の改善に有効な2大漢方薬を紹介します。
シミ、肝斑、目の下のくまは、男性はもとより、多くの女性の悩みのタネではないでしょうか?特に肝斑の発生比率は、90%以上が女性のようです。
以前の記事で、肌荒れの起こる体質は、血の生産、血の循環、血の皮膚組織での利用がうまくできない血虚や水分の不足(津虚)の体質の人におこりやすいことを説明しましたが、実は、シミ、肝斑、くまも血の異常によりおこる症状です。
目次
シミ、肝斑、目の下のくまの改善に適した漢方薬
顔面のシミ、肝斑、くまは、瘀血が原因の可能性があります。
瘀血の症状とは下記のようなものですが、瘀血とは肝の異常・障害により発生するもので、肝臓での解毒や浄化が不十分となり、血液中の有害物質(血毒)の体内での蓄積により出現するものです。
瘀血の病態を治療するには、末梢循環系の血液循環を改善すると同時に、女性ホルモンのバランスを是正し、血毒の排泄を促進する漢方薬が適用されます。
下記の漢方薬は、駆瘀血剤として有名であり、月経痛、月経不順にも適した処方です。
桂枝茯苓丸、桃核承気湯
駆瘀血生薬である桃仁、牡丹皮が含まれており、桃核承気湯には、大黄が含まれており、大黄の瀉下作用(下剤)によって血毒の排泄を促す効果もあります。便秘のある人には、桃核承気湯が使用されます。
瘀血の症状
- 全身:冷えがある、ほてり、発汗、筋肉の凝りや痛み、
- 精神:各種精神症状(ときに発狂状態)
- 頭部:目にクマができる、にきび、シミ、肝斑、口唇・歯肉・舌が暗紫赤色、
- 皮膚:湿疹、蕁麻疹、日焼けや傷跡が消えない
- 腹部:下腹部圧痛
- その他:生理痛、レバー状の塊がある、経血がどす黒い
血虚の症状
- 全身:疲れやすい,体がだるい,体重減少,貧血、
- 精神:物忘れ、集中できない、不眠
- 頭部: 顔色が悪い,めまい,立ちくらみ、髪にツヤがなく枝毛が多い、白髪、抜け毛、かすみ目、疲れ目、口が渇く
- 四肢(手足):手足のしびれ、筋肉のけいれん、こむら返り、筋肉量減少
- 皮膚:皮膚のかさかさ、肌荒れや小ジワが気になる、爪が薄く折れやすい
- その他:生理が遅れ気味で経血量が少ない、動悸、息切れ
津虚の症状
- 全身:微熱、夕方以降の微熱、寝汗
- 精神:ソワソワ、イライラ、神経過敏
- 頭部:目が乾く、口が乾く、耳鳴り、顔が赤い、のぼせ・ほてり、舌は赤くコケがない
- 四肢(手足):関節が動かしにくい
- 皮膚:肌のかさかさ・乾燥
- その他:空咳、動悸、尿量が少ない、便秘(コロコロ)
肝(五臓六腑)と血虚と瘀血
血の生産、運搬、解毒は、五臓の中の肝の働きです。肝の働きに障害が発生した時に、血虚、瘀血などの症状がでます。
血虚
- 肝での血の産生の障害
- 運搬の傷害
- 利用の傷害
瘀血
- 血毒が過剰生産
- 血毒が体内に停滞している
- 血毒が肝で解毒できない
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今回紹介した漢方薬と生薬
桂枝茯苓丸
牡丹皮、桃仁、芍薬、茯苓、桂皮
牡丹皮
駆瘀血(くおけつ)作用があり、消炎・鎮静・鎮痛、婦人病や下腹部、下肢、腰部の化膿症に用いられる薬方に配合される。
桃仁
駆瘀血(くおけつ)作用があり、婦人薬に配合される。潤腸(じゅんちょう)作用があり、緩和な便秘薬に配合される。
桃核承気湯
大黄、芒硝、桃仁、桂皮、甘草
大黄
駆瘀血(おけつ)作用があり、便秘、胸満、腹満、腹痛、利尿異常、黄疸などを治する目的で薬方に配合される。
引用文献:好きになる漢方医学 喜多敏明著 千葉大学環境健康フィールド科学センター