頭や顔がカーっと熱くなってしまう「のぼせ」漢方で解決
頭や顔がカーっと熱くなってしまう「のぼせ」漢方で解決
前記事で、わたし自身がパニック発作(予期不安、広場恐怖)と20年近く付き合っていることを報告しましたが、どうも季節の変わり目、特に寒い季節から暑い季節に変わるときにこの症状が出てしまいます。
現在、柴胡加竜骨牡蛎湯によりこのパニック発作の根治をめざしている最中ですが、安定剤(メイラック)は、1錠/日により2錠/月まで減薬できており、離脱症状や主な症状であるのぼせやめまいの悪化はおきていませんのでもう一息かと思います。
わたしの発作は、予期不安が発生→その場にじっとしていられなくなる→広場恐怖が発生→頭がカーっとのぼせるといったものですので、柴胡加竜骨牡蛎湯は有効な方剤かと思いますが、のぼせという厄介な症状について、もう少し漢方的な観点で掘り下げてみたいと思います。
目次
のぼせは、2種類ある
のぼせは、 漢方的には重要な症候で、気の上衡(気逆)がその原因であると考えられています。
気の上衡とは、気の流れに異常をきたして、本来下方向に流れるべき気が、上方向に激しく流れる病態をあらわしたもので、漢方では気逆と呼ばれます。
気逆が原因で発症するのぼせには、熱盛のぼせと冷えのぼせの2種類があり、更年期障害でみられるホットフラッシュのように発作的な出現することに特徴があります。
冷えのぼせ
自律神経失調症や更年期障害と診断された人のほとんどの人にのぼせの症状が現れると思いますが、そのほとんどが冷えのぼせです。
上熱下寒とも呼ばれますが、下半身の冷えのため上半身と下半身の温度が生じて発生するのぼせです。
足が冷えて顔がのぼせる、下半身が冷えて上半身が熱っぽい、あるいは足は冷えるが手は温かいというのが冷えのぼせの特徴です。
熱盛のぼせ
ふだんから赤ら顔で目が充血し、のぼせたり、イライラしたり、怒ったり、皮膚は化膿しやすいというのが熱盛のぼせの特徴です。
冷えのぼせのような冷えはないのぼせとなります。
のぼせに適用される漢方薬
のぼせには、冷えのぼせと熱盛のぼせの2種類があります。
冷えのぼせには、温熱薬である桂皮の含まれる方剤が、熱盛のぼせには、寒涼薬である黄連を含む漢方薬が使用されます。
温熱と寒涼効果のある生薬が使用されます
冷えのぼせに適用される漢方薬
気逆+ 瘀血
桂枝茯苓丸は、 瘀血に気逆を伴うタイプに使用され更年期障害に月経不順を伴う冷えののぼせの第一選択薬です。
より実証でのぼせが強い場合、桃核承気湯が、より虚証で冷えが強い場合、温経湯が適用されます。
気逆+ 瘀血+気鬱
心身症でイライラを伴うような冷えのぼせには、加味逍遙散や女神散が使用されます。
気逆+水滞
利水効果のある苓桂朮甘湯は、水滞に慢性の頭痛や起立性調節障害を伴う冷えのぼせの第一選択薬となります。同様に利水効果のある五苓散は、より水滞の病態が強く、むくみや胃部振水音の目立つ症例に使用されます。
気逆+寒証
冷えの解消には温めることが効果的ですが、冷えのぼせの人の場合、温めるとかえって症状が悪化します。このような場合、当帰四逆加呉茱萸生姜湯や五積散などがよい適用になります。
熱盛のぼせに起用される漢方薬
気逆+熱証
黄連解毒湯は、気逆と熱証(熱盛)の病態を同時に改善することができる方剤で、高血圧、不眠、心悸亢進、ノイローゼ、更年期障害、胃炎、口内炎、皮膚炎などの症候に広く使用されます。
便秘があれば、黄連解毒湯のかわりに三黄瀉心湯を使用します。
気逆+熱証+気虚
気逆と熱証(熱盛)の症候に加えて、胃腸の働きが低下している場合、半夏瀉心湯や黄連湯が有効です。
腹鳴や下痢を伴う場合は半夏瀉心湯、胃痛をともなう場合、黄連湯が選択されます。
気逆+熱証+血虚
気逆と熱証の症候に加えて、血虚による皮膚の乾燥がみられる場合には、温清飲、荊芥連翹湯、柴胡清甘湯が適応となります。