風邪の特効薬である漢方薬の正しい選び方
風邪(急性上気道炎)の特効薬である漢方薬の選び方
風邪を引いたときに、葛根湯や麻黄湯がしばしば病院で処方されます。
しかし、どうも効きません。なので80%以上がウイルス由来の風邪なのに、抗生物質をもらったり、熱や痛みにすぐ効くロキソニン等の解熱鎮痛剤を飲んでしまいませんか?
当然、これらを服用しても風邪の軽い状態で止まることはなく、咳・痰は出る、熱が出て体はだるい、喉がひどく痛い、といった状態まで悪化しその後、本当の完治がやってきます。ほとんど自然治癒です。
当然、なんの薬も飲まず風邪が治るまで待つのは、これもなかなか耐えられることではありませんので、服薬無しというわけにはいきませんが。
今回の記事では、葛根湯や麻黄湯などで漢方薬の正しい飲み方をご紹介します。漢方薬を飲むタイミングや漢方薬の種類を適切に選択すれば、風邪の軽い症状(ちょっとだるいな、ちょっと喉がいたいな、鼻みずがでるな)、漢方ではほぼ未病の状態ですが、風邪を退散させることができるかもしれません。
僕の経験では、たとえ悪化しても漢方薬は、風邪を長引かせないと感じています。
目次
初期(太陽病)の風邪に適応となる3方剤
風邪を引いて2から3日の間を、漢方では太陽病といいます。まだ元気のある風邪という意味でしょうか。
太陽病期の自覚症状
頭痛、悪寒、発熱、項背部痛、浮脈
※悪寒:体がゾクゾクしたり、ガタガタ震えるような病的な寒け(さむけ)のことです。
※項背部痛:項(うなじ)から背中にかけての痛みです。
この時期には、麻黄湯、葛根湯、桂枝湯を使い分けます。使い分けのポイントは、汗が出ているかどうかです。
桂枝湯:自汗有、肩こりなし
葛根湯:自汗無、肩こり・項背部のこり
麻黄湯:自汗無、関節痛・せき・喘鳴
※喘鳴:呼吸する空気が気管を通る時、ぜいぜいと雑音を発すること
初期(太陽病)から4から5日経過(少陽病)へ病態は変化する
風邪は初期(漢方では太陽病期といいます)から、2、3日経過すると症状が変化していきます。下記のような症状(漢方では、少陽病期といいます)が出てきたら、漢方薬を変更する必要があります。
下記の漢方薬を症状に合わせて選択しますが、柴胡剤が中心となります。
小陽病期の自覚症状
- 往来寒熱
- 胸脇苦満(ろっ骨弓下の張った痛み)
- 口苦
- 口乾
- はき気
- 食欲不振などがあらわれます。
小柴胡湯:第一選択薬です
柴胡桂枝湯:太陽病が併存する
小柴胡湯加桔梗石膏:咽喉に炎症が強い
柴朴湯:咳痰・喘鳴を伴う
柴苓湯:下痢・腹痛を伴う
小児に多い鼻かぜと咳の風邪
子供も基本的には、成人と同じ漢方薬が適用されますが、下記の5種類の漢方薬を常備しておくと良いでしょう。
麻黄湯、葛根湯:風邪の初期には
小青竜湯:くしゃみ・鼻水が出てきたら
麻杏甘石湯 (五虎湯):咳が出てきたら
紹介した漢方薬とその構成生薬
桂枝湯
桂枝、芍薬、大棗、生姜、甘草
麻黄湯
麻黄、杏仁、桂皮、甘草
葛根湯(桂枝湯+麻黄+葛根)
桂皮、芍薬、大棗、生姜、甘草、葛根、麻黄
小柴胡湯
柴胡、黄芩、半夏、生姜、大棗、人参、甘草