季節の変わり目のめまいを漢方薬で克服ー五苓散、真武湯、苓桂朮甘湯
病院の検査で原因のわからないめまいには、漢方の利水剤が有効
梅雨が長引き、日照不足のため低温多湿の日が相当続いていましたが、梅雨が明けて突然高温多湿なになってしまいました。
流石に、急激な温度変化に体調がついていかなくて多くの人が熱中症で病院に運ばれているようです。
僕のプランター菜園のミニトマトも2年目にやっと成功するかと期待をしましたが、まだ小さいうちに赤くなってしまい、葉もほとんど落ちてしまいました。6個ほど収穫しましたが、思った通り酸っぱいだけでした。植物すら体調不良になる天候です。
同僚たちもこの天候変化についていけず、疲れやすいとか気持ちが晴れないだとか、体調がパッとしないなどの体調不良を訴えています。中には、咳が出たり、喉の不調を訴えるひとも多く感冒薬を求める人もいるようです。
30歳位の若い同僚の女性が私のところにきてひどいめまい(眩暈)が突然あらわれて倒れそうになったんだけど、大丈夫かな?って相談してきました。
突然のめまいだったようでしたので、熱中症の初期症状としてめまいが発生することや、梅雨が続いて気圧の変化で、内耳に影響が出る可能性があることを教えてあげました。
漢方では体液が十分に浄化されず汚れていたり、体液が十分に循環していない状態を水滞といい、めまいは水滞の証(体質・症状)の人にあらわれる症候であることも伝えました。
めがぐるぐる回る(回転性のめまい)のようでしたので、万が一に、脳に異常が出ていたら大変なので、とりあえず会社の近くのクリニックを受診するよう勧めました。
病院の検査で原因がわからなかったら、良い漢方薬を紹介してあげるよとも付け加えておきました。
彼女の場合、とても顔色も良かったし、めまいもこの数か月に数度起きた程度のようでしたので、おそらく、末梢性のめまい(内耳や前庭神経に異常がある)ではないかと思っています。
さて、長い長い梅雨あけ高温多湿の真夏になりましたが、これからは台風のシーズンにも突入します。
気圧変化や温湿度の変化による体調不良を訴える人が更に増えると思います。めまいや頭痛はその代表的な症状でないかと思います。
そこで、今回はめまいを克服する漢方薬を紹介したいと思います。
目次
西洋医学でのめまいの種類と原因
西洋医学では、めまいは下表のとおり分類されますが、漢方が適用されるめまいは赤字のものとなります。
注:回転性のめまいにおいては、発生比率は2%程度で稀にではありますが、脳の異常により引き起こされる脳卒中(脳梗塞、脳出血)の前兆である可能性があるので、MRIを取るなどの対処も必要です。
そこで何も異常がない、原因が不明な場合、漢方薬を試したいところです。
めまいの種類と適用される漢方薬
漢方では、めまいは水滞の証(有害物質が浄化されていない体液の過剰や体内での停滞)が原因で発生し、利水剤といわれる漢方薬が適用されます。
西洋医学分類される末梢性のめまいは、内耳を中心とした病気が原因で生じるもので、漢方では水滞が原因とされています。
末梢性のめまいでは、配合されている5つの生薬の全てが利水剤といわれるもので構成された五苓散を第一選択薬として使用します。
また、めまいは、水滞の症候に、立ちくらみや動悸(気逆)、抑うつや喉のつかえ(気鬱)、冷え性や胃腸虚弱(気虚)や月経異常(瘀血)の症候が併発して発生することが多くあります。その場合は、苓桂朮甘湯、真武湯、半夏白朮天麻湯、当帰芍薬散を症状に合わせて適用します。
代表的な利水効果のある生薬
五苓散の構成生薬
どれも水分代謝を改善するものばかりです。特に猪苓、茯苓、蒼朮、沢瀉は、利水効果(水滞の証の改善)のある漢方薬に使用されています。
苓桂朮甘湯の構成生薬
茯苓、蒼朮、桂皮は、五苓散と共通していますね。