心電図で異常なし、なんで動悸ー漢方で克服
最近は、めまい、のぼせ、耳鳴りと更年期や自律神経の乱れで現れる症状を連続して紹介してきました。
今回は、私は経験していない症状ですが漢方による動悸の改善についてご紹介したいと思います。
動悸は、心筋梗塞や狭心症、エコノミークラス症候群など致命的な病気のサインである可能性がありますから、病院に必ず行きましょう。
また、甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に分泌される)バセドウ病などの可能性があります。西洋薬の服用でピンポイントに改善する可能性もありますので、やはりまずは病院に行って原因調査が大切です。
しかし、多くの専門医の方々の記事を読む限り、大抵はストレス性のもの、精神障害が原因であるようで、超音波や心電図をとっても異常はないようです。
私の実のお袋がまさにいまその状態です。昨日も連絡をしてみると、夜になると胸がいたくなる、苦しい、もう1か月続いていると訴えていました。
「この痛みが一生続いたらどうしよう」と不安になり、気持ちが安定しないのだと思います。
長期の痛みが体に長く居座ってしましまったため、交感神経系や副交感神経系に異常が起こり、眩暈や動悸が起きているのでしょう。
このような不安感・精神障害から出現している動悸は、実証なら柴胡加竜骨牡蛎湯、虚証なら桂枝加竜骨牡蛎湯を第一に選択します。
動悸を改善する漢方薬
動悸に対する漢方治療においてもっとも汎用されるのは炙甘草湯です。
炙甘草湯は、不整脈や甲状腺機能亢進症といった疾患である場合有効です。
漢方でいう気逆による動悸に対しては、逃走タイプの気逆に有効な桂枝加竜骨牡蛎湯や柴胡加竜骨牡蛎湯が有効です。
逃走タイプの気逆による動悸は、パニック障害のような不安発作や冷えのぼせ、手足の発汗を伴います。
桂枝加竜骨牡蛎湯は虚証の人に、実証は柴胡加竜骨牡蛎湯が選択されます。
桂皮と竜骨、牡蛎を含むこれらの2方剤は、不安や驚きを軽減する(安神作用)ことによって、動悸が出現するのを防ぐことが期待されます。
自律神経失調症、更年期障害では、めまい、のぼせ、冷え、動悸、耳鳴り、発汗が、1ないし数個の症状が出現することが一般的であると思います。
熱盛ののぼせと動悸が併発した場合は、黄連解毒湯が、自律神経失調症から発症する動悸には、柴胡桂枝乾姜湯も有効な方剤となります。
症例紹介
喜多先生の漢方講座でご紹介された実症例をご紹介します。
不安感、動悸、めまい、冷えのぼせの症状、まさに逃走タイプの気逆に対する漢方治療の症例となります。桂枝加竜骨牡蛎湯の煎じ薬を6か月服用し、ほぼ根治されています。
エチゾラム(デパス:抗不安薬)服用者への柴胡加竜骨牡蛎湯の適用症例ですが、1か月程度で効果がみられていることはすばらしいと思います。私も服用中ですが、夜間の中途覚醒がなくなりました。