冷えを温める漢方薬と冷やす漢方薬ー温熱薬・寒涼薬
漢方薬を構成する生薬には、体を温めるものと冷やすものがある!!
前回の記事では、寒証と熱証の症候・体質について説明しましたが、今回は、寒がり体質(寒証)と熱がり体質(熱証)に利用される生薬(漢方薬の構成成分)にはどのようなものがあるか紹介します。
寒証には温熱薬と熱証には寒涼薬です。漢方薬の説明書に生薬の種類が記載されているので、冷え性に効果があるのか、熱がりを冷やすのに効果があるのか参考にしてみてください。漢方薬の名前は、ちょっと特殊で、わかりにくいですが生薬の名前や効果を覚えていると、最近推奨されているセルフメディケーションにも役立つと思います。
温熱薬
- 冷えを温める
- 新陳代謝と血行を促進する
- 附子、乾姜、呉茱萸、桂皮、当帰
冷えを最も強く温めることのできるのは附子(ブシ、トリカブトの毒抜きをしたもの)で、2番目は乾姜(カンキョウ=しょうが)です。
寒涼薬
- 熱を冷ます
- 抗菌、炎症、鎮痛作用
- 黄金、黄連、黄柏、大黄、石膏
黄色言う文字が入っているものは、熱を冷ますのに効果があるようです。石膏は、とくに肺の熱や炎症をしずめる働きと利尿作用があり、天然の石膏をくだいて粉にしたものです。
冷えを温めるための生薬で最も多くの漢方薬処方に使用されているのは、当帰です。以前にも説明したかもしれませんが、当帰は血液を補う作用があります(補剤)。血液不足や血行不良によって起こる冷えや月経不順、月経痛、更年期障害などを改善します。
冷えを温める漢方薬の第一選択薬は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯です。これは、名前に温熱薬のほとんどが入っています。
冷えを温める漢方の秘訣 PATRⅣでは、当帰四逆加呉茱萸生姜湯をはじめとした冷えを温める漢方処方とその効果を報告したいと思います。
引用:【
Dr喜多のプライマリケア漢方講座】Step1-4 冷えを温める漢方診療の 秘訣