便秘の漢方薬基礎編ー31年度漢方薬・生薬認定薬剤師試験に出題!!
日本生薬学会、日本薬剤師研修センター主催の漢方薬・生薬認定薬剤師の試験
6月9日日曜日、日本生薬学会、日本薬剤師研修センター主催の漢方薬・生薬認定薬剤師の試験を受けてきました。100問中80問は解けたような気がしますが、なんと便秘に有効な漢方薬の問題は、ほぼ全滅してしまいました。
あまりにも多くの人が悩んでいる症候ですので、まさか資格認定試験に出るとは想像だにしていませんでした。
でも、考えてみれば多くの女性や高齢者の方々の深刻な悩みの一つですよね。それにこれぞ漢方薬の得意とする分野ではないかと、、、、、迂闊でした。
そこで今回は、認定試験に基づいて漢方薬による便秘の改善方法についてご報告したいと思います。
実際に、私は防風通聖散をダイエットのために1か月服用の実体験をしていますので、漢方薬の便通効果の実力を実感しています。
今回は便秘の第一選択薬として使用される漢方薬について総括的な解説をしたいと思います。
便秘薬は、大別すると腸のせんどう運動を促進するものと便を柔らかくするものがあります。
腸のせんどう運動を促進するもの
大黄と芒硝という生薬が含まれるものが、このタイプになります。
大黄甘草湯が便秘の第一択薬です。大黄と甘草の2生薬により構成される便秘薬です。
腸の運動を促進する成分のセンノシドを多く含む大黄と、腸の運動を整える甘草という二つの生薬が配合されています。
便秘以外に特に症状がない時は第一選択薬として使用されます。漢方薬は、配合される生薬が少ないほどシャープに効果を得られます。(例:葛根湯<麻黄湯)
桃核承気湯が女性の便秘の第一選択薬です。 この漢方薬は、大黄と芒硝により便秘解消をすると同時に、瘀血(体内での血液の滞留・停滞)の解消に有効な桃仁が含まれているので、月経不順、月経困難、月経時や産後の精神不安などにも効果があります。
【第2類医薬品】「クラシエ」漢方桃核承気湯エキス顆粒 45包
便を柔らかくするもの
大黄と 麻子仁という生薬が含まれるものが、このタイプになります。
麻子仁丸は、慢性(習慣性)便秘で、高齢者や病後の虚弱者に多用されます。大便はコロコロで硬く,兎糞状のことが多い方に使用されます。麻子仁と杏仁が水分の維持をし、腸を潤すことにより排便を促します。
潤腸湯も、高齢者向きの緩和な下剤で兎糞状の便などに使用されます。特徴的なのは、血行を良くする(血虚の改善)地黄と当帰が配合されていることです。
便秘に使用する漢方薬と構成する生薬
大黄甘草湯:大黄、甘草
調胃承気湯:大黄、甘草、芒硝
小承気湯:厚朴、枳実、大黄
大承気湯:厚朴、枳実、大黄、芒硝
桃核承気湯:大黄、甘草、芒硝、桃仁、桂皮
麻子仁丸:麻子仁、大黄、杏実、杏仁、厚朴、芍薬
潤腸湯 : 地黄、 当帰、 黄芩、 枳実、 杏仁、 厚朴、 大黄、 桃仁、 麻子仁、 甘草
大建中湯:山椒、人参、乾姜、膠飴